2巡目第3回冬

今回のお遍路は冬の野宿をやってみようと寝袋からストーブまでザックに入れて準備していたが・・・見事に失敗、雨の対応策を考えていなかった。
せっかく、カメラや余分なものを省けるだけ省いて計画したのに。

予 程

曜日

   行    程

宿泊

備  考

12月27日

大阪2300

  28日

甲浦→佐喜浜→室戸岬→24番最御崎寺→25番津照寺→26番金剛頂寺

民宿ホワード

 素泊り

  29日

27番神峰寺→安芸 

小松旅館

 素泊り

30日

安芸→八流山極楽寺→28番大日寺→爪彫薬師堂 

民宿喫茶きらく

 31日

29番国分寺→30番善楽寺→31番竹林寺→32番善師峰寺→種崎

民宿千松

  1月1日

種崎→33番雪渓寺→番外34番種間寺奥の院→34番種間寺→仁淀川大橋

 


2007年12月27日
 大阪のバスチケット売り場に9時前に着いて甲浦までのバスを待つ、出発までに随分時間がある。近くのコンビニで夕食の弁当と明日の食料を調達した。
 バスは3列シートで年末の里帰りの人でほぼ満席。出発前に天気予報を見ていたら明日は降水確率が80%でほぼ確実に雨は降りそうだ。
 小雨だったら予定通り東洋大師から歩き始めることにした。眠りにつこうとしてもなかなか眠れぬままに何度か外の景色を見る、真っ暗な中で街のネオンが
 やけに明るい。バスは大阪から高速に乗り神戸、淡路島と過ぎ四国へ入った。まだ真っ暗で何も見えない、窓に雨が当たっている。
 この調子だと歩くのは無理だと判断しバスの運転手に降車場所の変更を伝え、甲浦を佐喜浜にしてもらった。幸い料金は同じだった。東洋町のバス停で自転車
 遍路らしき人がいたが雨で動けないようだった。このバスから歩き遍路らしき方も一人降りたが雨が降っている。この冬の雨の中ここから東洋大師を過ぎてから
 左は海、右は山ばかりで休憩する場所も無いがこれからどうするのかな、雨の中歩くのだろうか・・。
2007年12月28日
 佐喜浜のバス停に降り立つ。雨はドシャ降りで時々思い出したように小降りになる。止む気配はない。
 なかなか雨の中に飛び出す決心がつかない・・お遍路は雨の中も歩かなくては・・・と思うが、一向に足が出ない。
 ここのバス停は屋根と壁、ベンチもありでなかなかいい所に思われた。
 このバス停に降りたのは私以外に地元出身の若い男性で大阪の大学に通っている方、迎えの車が来るまでここで待っているとの事だった。
 暫くして彼も迎えの車に乗っていなくなってしまった。トイレに行きたくなって周囲を見渡すと明かりの点いた交番が道路の向かい側にあった。
 この時間帯は誰もいなかった、本署への電話も誰も出なかったので止む無く無断でトイレをお借りした。納め札にお礼と連絡先を書いて机の上に置いた。
 ベンチに座って雨の止むのを待つ。今回は寝袋とか野宿の装備は持ってきたがザックの中は防水用のビニール袋に入れていない。
 そもそも、冬場の雨をまったく想定していなかったのが大きな間違いだった。まぁ、無理すること無いかとアッサリ雨の中歩くことをやめてバスで室戸岬まで行くことに決めた。
 それでも始発のバスが来るまでに雨が止めば歩くつもりだった。しかしバスが来ても多少小降りにはなったが相変わらず雨は降っていた。
 前回区切った東洋大師から歩かなかったことが多少心残り、又次の機会に歩けばいいかという気持ちも積んで始発のバスはあっという間に室戸岬に着いた。
 この頃になると小雨にはなった。雨具を着て御蔵洞にお参りしてから坂道を登り24番最御崎寺に着いた。お参りを済ませスカイラインを下る、雨のせいで遠くの景色は霞んでいた。
 今日中にどこまで歩けるのか判らない。できれば26番金剛頂寺辺りで宿をとるか若しくは適当な所で野宿するか迷う。
 25番から26番に向けて歩いている途中に野宿で歩いているらしき青年遍路と松山に住んでいるという奥様のお遍路に出会い、道々話をしながら26番へ向かう。
 奥様遍路は今日は26番にお参りしたらバスで奈半利まで行き予約してあるホテルに泊まるとの事だった。青年遍路の方はまだ泊まる所を決めていないようだった。
 奥様の方と一緒に26番にお参りして寺を出たところで少し道に迷うがなんとか国道55号線に出た。ここで奥様遍路はバスに乗って行ってしまった。
 うーん何処まで歩けるかなぁ。小雨だけど風もあるし、ずーっと雨は降っているし・・・
 とりあえず野宿できる所を探しながら歩ける所まで歩いてみようと思う、装備も大分濡れてきた。
 適当な野宿のポイントが無ければ、吉良川のホワードさんに泊めてもらうつもりで歩いた。結局適当な野宿できるところは見つけられないままホワードさんに着く。
 予約していなかったが何とか泊めていただけることになった。此処は素泊まり、夕食は近くの食堂で済ませ明日の朝食用のお握りもお願いした。
 部屋に戻って雨で濡れた装備を全部出して新聞紙の上においておく。明日までに濡れた衣類が乾くか心配だ。
 お風呂が気持ちよかった、冷えた体にお湯の温かさがじんわりと滲み込んで最高だった。
 寝る前までに靴に新聞紙の丸めたものを詰め3回ほど入れ替え、これで靴のほうは明日は大丈夫と思う。
 それにしても、雨のおかげで大幅な予定変更となった。

2007年12月29日

 吉良川の民宿ホワードさんを朝の6時発。装備類はまだ生乾き状態で靴は何とか大丈夫だった。
 まだ周囲は暗くてよく見えない、登山用のLEDライトを取り出して歩いた。以前に通った道筋だったので道に迷うことはなかった。
 お天気は曇りのようで月も星も見えない。次の札所27神峰寺目指してただ黙々と歩く。歩いているうちに段々明るくなってきた。
 前回1巡目の時は足を痛めた方と羽根岬を通った、今回は一人で中山峠道を歩いた。
 国道から見た時、前方の山を越えていくのか、かなり高低差が在るなぁと思っていたが、それほどのキツイ登りもなく歩きやすかった。
 その昔大名の参勤交代に使われた道だったとか、所々に残された石畳がそれらしさを感じさせる。でも結構狭い道だった。
 今は海岸沿いに国道が走っていて遠回りだけど車だったらあっという間に岬を過ぎてしまう。
 昔は海岸沿いに歩くより山越えのほうが安全だったのだろうか、それとも道が無かったのか。
 峠道から55号線にでてすぐ大師堂がある、お参りして少し歩き近くのバス停で一休み。ここもタイミングがよければ野宿のポイントになりそうだ。
 まだまだ時間があるので先に進む。意識が野宿のポイント探しに向かっている、そんな己に時々苦笑い。何の為のお遍路なのか・・・
 奈半利の街中を過ぎ神峰寺の麓で一休み、海沿いの集落内を過ぎ田んぼ道を通って山裾の集落へ、道は段々と山道らしくなってきた。
 急坂な遍路道を登る、時々車道を横切ってようやくお寺のすぐ下の東屋に到着ここで一休み。お寺まではもうすぐ。
 お寺の山門に着いて神社にもお参りしようかと迷う、上の神社までは階段が続いていそうだし距離もありそうなので今回はパス、まずはお寺へ。
 納経所前の休憩所に荷物を置いて本堂、大師堂とお参り。ここのお水は何時飲んでも美味しい。
 寺を出て後は今日の宿をどうするか、まだまだ野宿場所を決めるには早すぎるが宿泊まりにするなら宿を決めないと迷惑をかけてしまう。
 大山岬当たりで野宿できそうな場所を見つけたが、まだ明るくてパス。道の駅大山でも人が多くてパス。
 結局今日も野宿を諦めて安芸市内の宿を素泊まりで予約した。安芸市内の宿に18時過ぎて到着。
 野宿で星はみられなかったが太平洋に沈む夕日と星空を眺めて歩いた。
 薄暗くなってきて海岸線から「いおき」の駅まで出るのに遍路シールが見えなくて困った。
 何キロぐらい歩いたのか、それにしてもよく歩いた。

2007
1230
 目覚ましのタイマーを間違え寝坊してしまった、あわてて宿を7時過ぎに出発。
 歩きだすとやっぱり体が重い。 昨日頑張り過ぎて疲れが残っていたようだ。
 目的地を28番大日寺近くの民宿までとしてのんびりと歩いた。
 今日のルート中は特に興味のある所も無し、海岸線に沿った一本道。
 途中は番外の極楽寺に立ち寄ってお参り、前回の印象と変わらず、海に張り出したような崖の上で風当たりも強そうな所。
 赤岡の町の中にはいろんなものがあるようだったが興味が無いので、ただ淡々と歩いた。約24キロほどかな・・
 28番の大日寺に14時半頃着いた。本堂、大師堂とお参りして、前回すぐ側だったのにお参りしなかった爪彫薬師堂にもお参りした。
 門前の店で輪袈裟と数珠を入れる袋を買った。網代笠も欲しかったが手持ちの資金ではチト足りない。
 宿には15時半頃に到着、1階が喫茶店で2階が宿泊部屋で食事は下の喫茶店でとった。
 今日の空模様は晴れたり曇ったりで歩くには丁度良かった、お遍路さんの数も少なく納経を待たされる事もかった。
 明日はどの当たりまで歩こうか、宿は営業しているか心配、何件か電話で問い合わせてみたが種崎の渡し近くの宿は殆ど正月近いので開業していなかった。
 明日の宿をどうしたらいいか思案。

2007
1231
 おお!寒い、朝の5時半に宿を出る。
 空気が澄んでいてすごく寒い。月が出ている。星空がすごく綺麗だった。
 その昔、まだ20代の頃、山登りの仲間たちと一緒に北アルプスの上高地の奥、横尾でキャンプした。そのとき見た星も綺麗だった。
 宿を出ても周辺はまだ真っ暗、ライトをつけて遍路シールや道案内の看板を探す。2回目ということもあるのだろうか不思議と直ぐに見つかる。
 まだ車も通っていない。少しずつ明るくなっていく空や山を眺めながら戸板島橋まで歩いた。橋を渡って左に折れ畑の中の集落に入る。
 薄暗かったが道に迷うことは無かった。松本大師堂が新しくなっていた。踏み切りの側にあった接待所は閉鎖されていた。
 7時過ぎに寺に着いた、29番国分寺にお参りして次の札所を目指して田圃の中の道を歩く。前回は広い道路(384号線)に出たが、今回は国分川沿いの道を進んだ。
 途中で遍路小屋を見つけたので一休み。ここで後から来たお遍路さんに追いつかれた。挨拶だけを交わして30番へ。
 お墓の中の遍路道をとおり住宅地を抜け30番善樂寺に着いた。ここから31番竹林寺に向かう道で前回は道に迷った。
 多少不安になりながら遍路シールや看板に注意して迷わないように歩いた。無事地図どおりの道に出てサンピア高地の前の道に出た。
 前回迷ったのが不思議なぐらいアッサリと植物園裏のお墓下まで来ることができた。
 正月前の墓掃除に来ている方に挨拶をして、急な坂道や階段を上り植物園に着いた。
 植物園の中の道を通り31番竹林寺に到着。お参りを済ませ32番善師峰寺に向かう。古ぼけた石の階段は苔が生えていて並びも多少崩れてきている。
 この遍路道を使うのは歩きのお遍路だけだから整備されていないのも仕方が無いのか・・。山から下りて小学校の脇に出る。川に突き当たり左へ堤防沿いを進む。
 何を考えるでもなくただ、淡々と歩いた。多少風はあるものの体は歩いているので温かい。汗が出るか出ないかぐらいのペース。
 見覚えの有る道ばかりで川沿いから右手の山裾へ短いトンネルを潜って住宅街に出た。途中武市半平太のだったかな?の生家だとかがあったが、残念ながら興味は無い。

池の傍をとおって海の傍の集落に入った。 さて、ここから坂道を登った所に32番善師峰寺がある。前回の時の納経所の前にいた猫ちゃんはいるだろうか。

一汗かいてお寺に着いた。猫たちもいました。お参りと納経を済ませてベンチで今日の宿探し、何箇所か種崎の渡し近くの宿に問い合わせるが、廃業と正月前の休業で宿はやっていなかった。
 いよいよ野宿かと思ったが念のためもう1件電話した。幸いなことに此処はもう一人のお遍路さんが泊まるからということで泊めていただけることになった。
 感謝です。・・・ここがダメなら渡し場の待合所あたりで野宿するつもりだった。宿は渡し場から10分位の所で釣り宿みたいな感じだった。

風呂上りにビールを飲み隣室の方と少し話す。明日は一緒に出発しましょうということになった。夜中は暴走族らしき車が辺りを走り回っていて少々煩かった。
 今日もハードな1日で、30キロ以上歩いたかな。 明日は三十四番と奥の院にお参りしてから帰名予定。

2008
11
 まだ、薄暗い中を二人で始発の渡船に乗るべく渡し場に向かう。待っていると地元の方も乗り込んできた。常連さんらしく船員さんと話が弾んでいた。

浦戸湾を船で渡るのは初めてだ。前回は怖い思いをしながら狭い歩道のある浦戸橋を渡ったっけ。渡し舟が岸を離れると直ぐに日の出を見ることができた。
カメラを持ってこなかったのが残念。携帯では上手く写らない。渡船にかかった時間は15分〜20分ぐらいだったのかなぁ。歩くより余程早い。
昨夜同じ宿に泊まった方と前後しながら雪渓寺についた。納経も終わって一休みしているとき昨日通夜堂に泊まったらしき自転車遍路の方と話す。
昨日は毛布もあったけど寒かったとか。自転車で回るのはいいけど登りの坂道はどうするのかなぁ。私には無理だ。
寺を出て34番種間寺奥の院へ向かう、どんな所か楽しみだったが奥の院へ向かう道にはお遍路シールや標識が極端に少ない。
ひとり歩き同行二人の地図を頼りに目印になるポイントを捜し奥の院へ向かう。幸い古ぼけてはいたが目印の看板が分岐点にはあって助かった。
それでも時々集落に入ると道を尋ねた。もう直ぐ海岸線に出るかなというところでようやく奥の院に着いた。
標識が出ていないと奥の院とは分からないような周りをトタンで囲った物置小屋のような建物だった。
鍵はついていたが開いていたので中に入るとお参りできるようになっていた。お参りを済ませて34番種間寺に向かう。
陽射しはあったので風が止めばそれなりに暖かかった。寺まではほぼ一本道なのと今回は種間寺で区切りなのでのんびりと歩いた。
午前中にお参りも終わり仁淀川大橋まで歩き、バス停でバスを待った。
次回はここからだが、種間寺からはバス路線も無く結構不便。雪渓寺辺りで区切ったほうが良かったかな。


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