予 定    曜 日    行    程   宿 泊 先 備    考 
9月18日  土     名古屋〜善通寺〜[76]〜[78]〜BH三中井   BH三中井
19日    BH三中井〜[79]〜[82]〜百々家  百々家
20日    百々家〜[83]〜[85]〜岡田旅館  岡田旅館  
21日    岡田旅館〜[86]〜[88]〜民宿八十窪  民宿八十窪
22日    民宿八十窪〜[10]〜[5]〜森本旅館 森本旅館 
23日    森本旅館〜[3]〜[1]〜名古屋    



金倉寺の山門

金倉寺の乃木将軍妻返しの松

77番道隆寺

丸亀城

78番郷照寺
9月18日
前回8月5日〜13日にかけて夏の猛暑に散々やられたにも拘らず、またまた続きの遍路に行ってきました。
今回は75番善通寺から88番大窪寺までと、さらに四国一周の円環を閉じる為に10番切幡寺、5番の地蔵寺と3番から1番まで歩いてきました。あまり記録する事に拘らないように宿でもその日のメモも取らないようにしました。只歩く事、出合った方々との時間を大切にするように心がけました。
朝一番の電車で名古屋まで名古屋から新幹線で岡山へ出て特急と快速を乗り継いで善通寺に10時ごろ着いた。電車は思っていたほど混んでなかった。お遍路姿の人は一人見ただけでその方も善通寺の手前の駅で降りたみたい。
駅のホームを出て正面の道をまっすぐに善通寺へ向う。今日も暑いが、もっと夏の暑かったことが思い出される。
今回の遍路の打ち始めのお参りをして本堂の裏で白衣を身につけ菅笠をかぶり遍路装束に変身。大師堂に靴を脱いで上がり般若心経を唱える。重ね印はしなかった。
76番金倉寺に向って出発。地図に従って線路を渡り左折する。319号線に沿って歩く。朝食はお握り1個だったので腹が空いていた。さぬきうどんを食べたいと思っていたが適当な店が見つからなかった。道路沿いの喫茶店に入ってお昼にカレーライスを食べた。店の方に昔の遍路道を尋ねたが分からなかった。地図にあったコンビニは潰れてしまっていた。遍路標識に気をつけながら319号線を歩く。ようやく懐かしい標識を見つけて遍路道に入った。体調と足のほうは大丈夫そうだ。田圃道と集落内の道を通って13時少し前に金倉寺に着いた。今回始めての納経を済ませ朱印を戴いた。次の77番道隆寺に向うが、高架下の所で外人遍路と出会った。彼は道がわからなくて行き戻りしていたようだった。少し道に迷ったりしながら田圃と集落内の舗装された道の木陰や家陰になる所を選んで歩く。まだまだ残暑が厳しい。外人遍路とは77番まで前後しながら歩いたが、お互いペースが違うので歩きながらの話は出来なかった。チョット残念。
14時頃に寺に着いて77番道隆寺の本堂、大師堂とお参りした。横から外人遍路の般若心経も聞こえてきた。般若心経と本尊真言の後に何語で言っているのか分からん言葉を唱えていた。
参拝が終わり、お寺の門前の遍路用品も売っている土産物店で冷たいお茶の接待を受けた。土産物を眺めながら暫らく休憩していたら店のテレビがお遍路の実況中継をしていた。もうすぐ歩きの団体が21号線に沿ってこのお寺に着くとのこと。騒がしいのとTVなんかに写されたくは無いので早々と78番に向って出発した。寺を出て右折し21号線に沿って歩いていたら歩きの団体が正面からやってきた。
狭い歩道ですれ違うのも嫌なので反対車線の歩道に移りTVに写らない様に下を向いて歩いた。50〜100メートルぐらいはゾロゾロと繋がっていただろうか。
国道21号線沿いを黙々と歩き15時半頃丸亀城が見えるところまで来た。丸亀市の中心街みたいだ。近くに休憩するところは無かった。大きな橋を渡ったところで一休みして78番までの距離と時間を確認する。納経締め切りの17時までには78番を打ちたいが間に合うか・・・後3キロぐらいで時間は1時間チョットある、疲れて歩くペースも落ちてきているが何とかなるだろう。お昼に今日の宿を予約してあったが、てっきり78番の近くに予約したつもりだったのだが・・・確認したら違ってた。78番からまだ3キロ近く歩かなければならない。どっと疲れが出た。
気を取り直して33号線に沿って歩く、高架を潜って遍路道に入り地蔵堂の横で一休み。
古い住宅街の坂道を登ってようやく78番に16時半過ぎに着いた。坂の途中で珍しい白い彼岸花を見つけた。
このお寺にはベンチが一つも無くて荷物(ザック)の置き場に困った。普通は2〜3箇必ずあるのに・・・。
ザックを背負ったままお参りするのも辛いので綺麗な場所を探して地面にザックを置いた。お遍路の荷物を盗んでいく奴もいるので出来るだけ見えるところにザックを置く。納経が終わり朱印も戴いてからトイレを拝借。
さて、今日予定していたお寺は全部回れたので後は宿に向うだけ、しかし後3キロは辛いなあ。トボトボと重い足を引きずって宿に着いたのが18時少し前。やれやれ。
宿に着いたら毎回お決まりの洗濯とマッサージと風呂。
ビジネスホテルだったので終わってから近くの居酒屋で食事をした。
部屋に帰って明日の予定を立てた。今までのところ足の調子もいいようなので明日は79番から82番ぐらいまで、宿は鬼無駅の近くにしようと決めた。2〜3年前にはもう一軒宿があったが今はそこ一軒だけになってしまっている。

9月19日
前日に宿の方には5時半頃出発しますと伝えてあったが、少し寝坊してしまって出発できたのは6時少し前ぐらいだった。坂出の街中を抜け遍路道に出て79番高照院に向う。街中を抜けて番外八十場の水の少し手前で道路脇に咲く彼岸花を見つけた。朝日に照らされて綺麗だった。この番外で何か朝食をと思っていたが店は早朝なので開いてなかった。
少々腹が減ってきた。小休止してから出発、7時少し前に着いた。さっそく誰もいない境内で
本堂、大師堂と般若心経を唱える。この79番は白峰宮という神社と一緒になっており遍路道は神社の裏手から入っていくようになっていた。7時になって納経所で朱印をいただいて帰り際、納経所の門に面白い飾りを見つけた。下の飾りが蓮の花を模っていて上には鳥がついている。何という鳥かな?
79番を出て80番国分寺に向う。寺を出て線路に突き当たり踏切を渡らず右折する。かもがわの駅の前を左に曲がる。ここの曲がり角の店の中にゴールデンレトリバーのワンちゃんがいて曲がらずに真っ直ぐ行こうとすると大きな声で「ワン」とひと吼えされた。驚いて地図を見直すと地図は左に曲がって橋を渡るように書いてあった。o( ̄ー ̄;)ゞううむ
橋を渡り右折して川沿いを少し歩く。朝の川べりを気持ちのいい風が通り過ぎていく。時々両手を広げて風から元気を貰う。それにしても腹減ったー。少し歩いて国道沿いのコンビニを見つけた。牛乳とサンドイッチとお茶を買う。コンビニのすぐ横に新聞紙を置いて荷物を降ろし、朝食を食べた。近くのゴミを少し掃除てから出発。最近は平気で地べたに座れるようになってきた。9時には80番国分寺に着く。ここではバス巡拝の団体と出会ってしまったので後からのんびりとお参りした。本堂は普通のお寺だったけど、大師堂は納経所と売店と一緒になっていて中は凄く混んでいた。なかなか霊験あらたかなお大師様らしい。
ここのお寺の池でで2匹の甲羅干しをしている亀と納経所の庭に咲いていた白い彼岸花(曼珠沙華)を見つけました。赤い彼岸花はよく見るけど白いのは珍しい。
国分寺を出て81番白峰寺に向う。古い遍路地図だと途中にへんろ転がしと書いた部分が会ったが横峰寺や雲辺寺を経験してからではさほどのことはなかった。確かに急登ではあるが・・。急坂になる手前でウォーキングをしている方と会って少し話しながら登った。勤務先が四国で大阪から単身赴任で来ているとか、山が好きで休日は時々白峰寺までハイキングするとかいっていた。成る程、結構速いペースであるいておられた。ペースが違うので先に行ってもらう。このときはペットボトルの水が少なくなってきており何処かに水場か自販機が無いかと少々焦ってた。国分寺の近くで水分を補給しておくべきだった。体が多少重いのでゆっくりのんびり歩く、初日に結構無理して歩いたからそろそろ疲労が溜まってきたのかな。途中で地元の方に会ったので道を聞いた。
少し登って1本松手前の見晴らしのよい展望台についた。屋根とベンチもある。靴下も脱いで素足になり大休止。後から若い歩きの遍路が来たので声をかけて一緒に休憩。いろいろと雑談したが神奈川から来た人で今夜の宿は同じだそうだ。空模様が怪しくなってきて小雨も降ったり止んだりしている。
しばらく雨の様子を見て小雨のときに彼は先に出発した。さて、私も行くかと重い腰をあげようとしたら本降りになってきた。あわててザックを開いて雨具を身につけ出発した。
展望台からすぐに舗装道路に出て左折し歩いていたら、先ほどの若い遍路が木陰でザックから雨具を出し着替えてた。お先にと追い越すが彼の方が少し歩くペースが速くすぐに追いつかれてしまった。今夜の宿が同じなので一緒に歩く事になった。遍路札にしたがって舗装道路から森の中の遍路道に入る。雨はほとんど止んでいる。水溜りや雨で濡れた岩の上、木の根等で滑って転ばないように慎重に歩く。段々と下りになって丁度12時頃に81番白峰寺に着いた。本堂、大師堂とお参りし、13仏のお堂があったので文殊菩薩のお堂にもお参りをした。納経所で朱印を貰って寺を出て山門の前で昼食のお握りを食べた。一緒だった彼は先に出発した。一休みしてから82番根香寺に向う。先ほど下ってきた道をまた登る。自衛隊の演習場側の垣根に添って舗装道路に出ずに三叉路を直進する。山の木々に囲まれた気持ちのいい遍路道だ、所々に雨で泥濘が出来ていた。多少のアップダウンはあるものの春や晩秋に歩けばもっと良かったのにと思う。十九丁の道しるべにでて暫らく歩くと舗装道路に出た。左折して道路に沿って歩く、近くのお店の自販機でコーヒー牛乳を飲んだ。廃業したような五色台みかん園の交差点からまた、遍路道に入る。82番根香寺に14時過ぎに着いた。ここのお寺は不思議な雰囲気を感じた。山門からいったん階段を下がり少し歩いて又階段を上って本堂、大師堂とおまいりする。30分程で寺を後にした。寺を出て又来た道をみかん園まで戻り、左の舗装道路を下る。高松の街を見下ろす眺めのいいところでしばし休憩。標高は340Mぐらい。道路の脇道に新聞紙を敷いて素足になる。天気もいいし木陰もある蛇の心配が無ければここで一眠りしたいところだ。車の往来もほとんど無い。景色を楽しみながらのんびりと歩いて標識に従って左折したら草が生い茂っていて道の手入れがされていないところへ出た。誰かが最近通った後らしく草が薙ぎ倒されていたのでかまわずそのまま直進する。足元は草に隠れて見えない・・・マムシが出たらどうしよう。杖で前を探りながら歩いた。みかん畑の中の舗装道路に出てそのまま地図に従って真っ直ぐ鬼無の街を目指して山を降りた。集落内の道端で遍路と出あった。挨拶して休憩がてら暫らく話し込む。
この方は電車やバスを利用してお遍路をしているそうだ。今夜の宿も同じなので一緒に宿まで歩いた。今夜の宿は鬼無駅近くにあった。16時半頃に着いた。宿の今夜の宿泊者は私と神奈川の方とこの方と車で回っている2人の5人だった。宿に着くとお決まりの、洗濯、足の手入れ、風呂、食事で明日のコース組と宿の予約をした。今日は足の付け根が少し痛くなってきていた。
食事時は明日のコースに着いて皆でワイワイがやがやと談笑して楽しいひと時でした。
明日は83番から85番までは何とかお参りしたいと思っていた。足の調子が良ければ86番まで進みたいけど・・・足が痛み出しており、チョッと自信が無い。

畦道に咲く彼岸花(曼珠沙華)

79番高照院の納経所入り口の門

80番国分寺

亀が2匹甲羅干し、親亀の上に小亀?

白い曼珠沙華(彼岸花)
根香寺の下り道より



83番一宮寺

食わずの梨のお地蔵様

84番屋島寺

85番八栗寺

八栗寺の歓喜天
9月20日
朝食をいただいて宿を6時過ぎに出発。昨日は列車の音や車の音がうるさくて中々寝付けなかった。睡眠不足じゃ・・。街中を通って香東川に出て川の左岸沿いを歩く。朝早くから散歩やウォーキング中の人が結構歩いていた。早朝はやっぱり気持ちがいい。河川敷の歩行者道路を歩く。川にかかる橋の四つ目を左折して橋を渡り少し歩いたら83番一宮寺に着いた、7時45分。今日は体が重く感じるが何とかいけそうだ。参拝を済ませ次は84番屋島寺へ向う。遍路地図では高松の街中を抜ける道と途中から街中を通らずに水路に沿って歩く道があった。さすがにこの装束で街中を通る気は無かったので迷わず水路沿いの道を歩くことにした。地図だと一宮寺から高松自動車道まで1本道だ、しかし何処をどう迷ったか11号線を通ってきたらしい。御坊川に辿り着くまで時間がかかった。今日も暑い、喫茶店を見つけて
しばし休憩。店に入ってアイスコーヒーを飲んでいるとお客さんが「何処から来たのか、今日で何日目か、88ヶ所回るとどんなご利益があるのか、どうしてお遍路をするのか等々」いろいろ訊かれた。その方もお遍路をしてみたいそうだ。中々返事に困る質問もあったけど、仕事の気分転換に区切りで歩いて回ってますと答えておいた。何故歩いて四国の88ヶ所を巡拝するのか正直なところ自分でもまだ答はでていない。店を出たところで又道に迷った。
付近の人に道を尋ね、川に沿って歩いた。川の水は澄んでいて鯉や小さな魚の泳いでいる姿がよく見えた。トコトコと川に沿って歩く。目的の橋の手前でまた迷って近くの方に道を教えてもらった。街中は遍路標識が少なくて注意していないとすぐに迷ってしまう。
下千代橋を渡って国道沿いを歩く。暑い・・・・。本屋のところを左折して道は少しづつ上り坂になっていく。ため池側の東屋のベンチで一休み。近くの方が孫のお守りをしていた。またまた雑談する。内容はだいたいさっきの喫茶店の方と同じ内容。暑さが厳しいのかよく水分を取る。身体も重い。休憩が終わってまた歩き始める。何人もの地元の方と挨拶を交わしながら屋島寺への坂道を登る九十九折のマァマァの勾配の坂道だ。途中にある休憩用のベンチでよく休んだ。12時半頃に到着した。お参りしてから納経所の側のベンチで昼食を取った。ここを出て廃業したホテル前をとおって85番八栗寺へ向う。驚いた事にここから下の道までは急勾配の一直線の下り坂だった。早くていいけど足が・・・持つかな。何とか無事に下の道にたどり着く。膝がガクガクになってしまった。右折して集落内を通り橋を渡る。
橋の所で逆打ちの腰にコルセットを巻いたお遍路さんに出会う。コルセット巻いてまでお遍路をするなんて・・・吃驚してしまった。チョット挨拶してこれからの先の道を尋ねる。
もう暫らく歩くとケーブルカーの駅だそうな。途中にさぬきうどんの有名な店があったらしいのだがかまわずに先に進む。ケーブルカーの駅に到着して一休み。ここでも靴下を脱いで足を乾かす。自販機の飲み物を飲んでいると地元の方らしき人が話し掛けてきたのでしばし雑談する。話題はいつものとおり。で、暫らくしてケーブル横の道を登り始めた。もうヘロヘロ状態で顔を上げる気力も無くコンクリートの坂道をトロトロ登った。若いカップルが下から追い越して楽しそうに登っていった。若いって、いいなぁー
時々彼と彼女のの雑談が聞こえてくる。私は疲れでくたくたになりながら少しづつ上がって行った。もう少しで山門に着くところで彼らを追い越す。彼らの声が下で聞こえるようになってようやく山門前の宿に着いた。宿に入るにはまだまだ時間がたっぷりあったのでゆっくりお参りする。歓喜天が祭られているのは珍しい。本堂の前にお参りしてしまった。
お参りを済ませ、境内でゆっくり休憩。15時30分・・・まだ宿が開くまで時間がある。
約束では17時ごろの予定だった。早いけど宿に声を掛けてみると後ろから男の人の声がした。何処かで何かの作業でもしていたらしい。中入って休憩させてもらう。今日も6時過ぎから歩いてきたのでくたびれてもう歩きたくない・・・歩き遍路なんですが(;^_^A アセアセ・・・
宿は古いけど気持ちのいい部屋だった。ゴロンと横になってしばし休憩。その後はいつものとおりマッサージやら洗濯やらで日が暮れた。昨日の宿とは打って変わって静寂が気持ちいい。虫の声と風の音、森のざわめきが聞こえるだけ。時々街の騒音が有るけど殆どは山の静寂の中に包み込まれた感じ。何とも気持ちのいい夜だった。
建物は古臭いし、温泉でもないし、露天風呂もないけど、日頃の喧騒に疲れた方にお勧めの宿です。


まだ日が昇ってない五剣山


志度湾から五剣山を振り返る


86番志度寺


87番長尾寺


88番大窪寺
9月21日
5時半頃に食事にしてもらって6時前には宿を出た。こんなに朝早くに食事を用意してくれた宿の方に感謝。たぶん、この宿に泊まった方は今日中に88番まで行くんだろうな。
昨日の夕食時に親父さんがデジカメで写真を撮ったのをいただいた。無精髭を生やしてお酒で真っ赤になった間抜けた自分が写ってました。(笑)。お接待も戴いてしまった。
まだ山道は暗く五剣山も暗い。今日はようやく88番だ〜。まだ足元が暗いなか昨日参拝した歓喜天、本堂、大師堂の前を通って山を降りた。朝早くから車が2台ほど登っていったが、納経所の方だろうか軽く会釈をしてすれ違う。朝の山の冷気が気持ちいい。山を降りていくのが勿体無い気分だ。
下道に出てから集落を通り国道にぶつかって左に歩く。暫らく国道に沿って歩き、古い海岸沿いの集落を通る遍路道に入る。左側はず〜っと瀬戸内だ。7時少し前ぐらいに船溜まりのすぐそばの公園で一休み。いい天気になった。五剣山を振り返る。山の上が突き出ていてそれとよくわかる。堤防のすぐ側で野宿をしたらしい遍路が着の身着のままでまだ寝ていた。朝の犬の散歩をしているお爺さんと少し話す。話題はお決まりの何処から来たのかから何で遍路をしているか等々。
86番志度寺の手前にある平賀源内資料館は開いてなかった。ここら辺りは前回の大雨で川が氾濫して床上浸水した家も沢山あったそうだ。家の周囲には消毒用の石灰が撒かれていた。お気楽遍路をしている自分を振り返りなんだか申し訳なく感じる。足早に通り過ぎ志度寺に7時30分頃に到着した。朝早いせいか参拝する人も少なくゆっくりとお参りできた。境内のベンチで地図を取り出しルートを見ていたら鳩の糞が落ちてきた、大事な地図を汚されてしまった。ハァ・・・
さて、そろそろ行くかと腰を上げたら女性の歩き遍路が「途中で数珠を落とされませんでしたか?」と訊いてきた。「いいえ」と答えてからゆっくりと歩き始めた。彼女も今日は88番で結願するんだろうな等と思っていたら、歩くペースがさほど違わないので結局88番から前後しながら翌日の10番切幡寺まで一緒だった。87番長尾寺まで舗装道路を歩く。途中で彼女が83番一宮寺前の温泉から一緒に夜通しで高松の町を一緒に歩いた方に追いつく。
彼は四国の新居浜の方でザックに黄色いマットを積んでいて野宿もしながら歩いていたみたい。明日には家に帰らなければならないとか。それ程話をしなかったが暫らく一緒に歩いた。彼を追い越して番外の玉泉寺で一休み、まだまだ暑いし陽射しも強い。境内の大きな石に座って靴下も脱いでくつろいでいたら彼女が通りがかったので声をかけて一緒に休憩した。彼女も黄色いマットのおじさんも今日は88番の前の民宿に泊まるとのことだった。彼女は千葉県から来た奥様で今年で5('_'?)...ン?歳になるそうだ。
彼女より先に出発して10時過ぎに87番長尾寺に着く。納経して朱印をいただき一休み。
さぁ、これから今日の一番の難所、女体山に向う。山越えか峠道かどちらにするか迷っていた。彼女も着いたので一緒に歩きましょうという事で道々色々な事を話した。
寺を後にして地図に載っていた讃岐うどんの店に入ってチョット早い昼食にした。
ここのうどんも美味しかったけど観音寺で食べたうどんも旨かった。コスタブランカの夕食時は夕日が綺麗だったとか、観音寺市内の美味しい讃岐うどんの店とか、同じ店で同じように100円のお接待を受けたとか、お遍路をしていて同じ思いを共有できた人に会えたのは嬉しかった。おかげで道の記憶は薄くなってしまったけど(笑)
歩きのお遍路をする為に山登りもやって来たとか・・・(ワシは何もしてこなかった)。だから山越えで行きたいとか。
前山ダムの分岐で道を間違えそうになった彼女に声をかけて先に進む。山道に入ると流石に運動不足のワシは後から歩く事になってしまった。付いて行くのは結構苦しかった(笑)
奇遇な事に一昨日同じ宿に泊まった神奈川の青年と山道のベンチで休憩中の彼に追いついた、てっきりもっと先に進んでいると思っていたのだが。彼も今夜は同じ宿に予約してあるのだそうだ。先に彼が出発して私たちはそこで一休みする。山頂手前の道は崖を登るような感じではあったが、ロッククライミングに較べれば大したことはない。頂上側の休憩所で
またまた休憩。曇っていなければいい眺めであろう岩山の上で景色を楽しんだ。
空模様が少し怪しくなってきたが後はお寺の裏門まで下るだけなのでゆっくり降りた。
降りる途中でも一休みする、彼女の誕生日が昨日だった事や、胃の手術を受けて半分しかない事、人生の事等いろんなことを話した。
思っている事をストレートに言葉にできる事はワシにしてみれば珍しい事だ。
下りの山道からお寺の屋根が見えてきた、まだまだ時間はたっぷりあった。
16時には88番大窪寺に着いて参拝も終わった。結願の時感激で泣く方もいるそうだが残念ながら特に感激に耽ることもなく淡々とお参りしました。納経所で結願証明書(88ヶ所全部回ったという証明書)をもらうかどうするか迷ったが止めた。宿に入って夕食のときに彼女とビールを飲んだのだがその折に一日遅れの誕生日おめでとうを言うのを忘れてしまった。納め札も交わさないほんとの一期一会の縁だったので心残り。

9月22日
昨日の夜は雨になったので今朝の天気がどうかと心配していたが、曇り空で昼頃までは大丈夫らしい。皆ゆっくり朝食をとって其々に出発した。神奈川から来た青年は1番霊山寺まで、千葉の奥さんは6番安楽寺ぐらいまで、ワシは5番地蔵寺近くの民宿までとばらばらの宿になった。去年の春遍路で5番の御影を戴き忘れたか、落としたのか無くなっていたので、是非立ち寄りたかった。
88番で結願したから遍路の標識は無いのかと思っていたらまだしっかりと1番までの標識がありました。88番を打ち終わってすぐに高野山へお礼参りに行く人も多い。でも、ぐるっと四国を回るなら出発点に戻って初めて1周した事になるわけだ。88番大窪寺から10番切幡寺までが約19.3キロそこから5番の地蔵寺まで後12.7キロ全部で32キロほどある。
宿を出て舗装された山道を段々と下っていく、三叉路で右に折れ狭くなった川沿いの道を歩く。廃校になった小学校の前を通り集落を抜ける。コスモスが綺麗だった。そのうち、香川県から徳島県への県境を通過した。8時少し前、ここで一休み。神奈川の青年に追いつかれた。彼と一緒に集落を過ぎた所の広い道に出るまで歩く。出たところで彼には先に行ってもらった。後からのんびりと山や川の風景を眺めながら歩く。少し前からトイレに行きたくてお店はないかと捜すが・・・こんな山の中の道にあろうはずがない。民家も無くてあれば廃屋のような家ばかり。我慢しながらどのくらい歩いただろうか小さな集落にたどり着いて店はないかと探したら道路沿いに看板を見つけ大急ぎで駆け込む。
幸い、営業中との事でさっそくトイレを借りる。出すものを出してスッキリしたところで暖かいコーヒーを頼んだ。お店と言っても個人住宅の応接間を喫茶コーナーにしているだけで外に暖簾を出してはいるもののお客は全然いなかった。ここでも女主人とお決まりの会話をした。丁度散らし寿司を作っているとかで昼食にどうぞとお接待に戴いた。旨かったです、感謝
ここの食事は全て予約制で野外で予約の客だけを相手に商売をしているとか。一人で仕入れから料理まで全てやっているとの事だった。こんな山奥の田舎でこれで食べていけるのかと少々心配になったので聞いてみると、お馴染みがいるから順調にやっていけるとの事だった。お礼をいって店を出た。道は少しづつ高度を下げているようだった。近辺の山裾が見えてくるようになってきた。
採石場近くはダンプの出入りが結構あった。徳島自動車道をくぐって左折し橋を渡り10番切幡寺に着いた。去年の春以来だ、懐かしい。ここで、千葉の奥さんと又会った。お参りしてから別れの挨拶を交わした。切幡寺を出てからが大変で9番、8番へは寄らずに7番へ向う。遍路標識がない道を歩いたので頻繁に地元の方に道を尋ねた。標識があるのと無いのとではこれほど違うのかと思った。
道を間違えてないかという不安感がつきまとった。雨がもう少しで7番に着くというところで降って来た。高速道路下の隋道で一休み。雨具を出して着替える。7番十楽寺にお参りしてから6番安楽寺に向う。安楽寺は去年遍路を始めて初めて泊まった宿でもあり初めての宿坊でもあった、何か懐かしい。ゆっくりお参りしてから売店で暖かいコーヒーを飲んだ。雨は少し小降りになってきたようだ。ここを出てからも多少道に覚えはあるものの結構回り道しながらようやく16時半頃に5番に着いた。お参りして納経所で御影を戴く、これで88ヶ所全部の御影が揃う。
お寺の前の旅館に泊まる。夕食前にいつもの作業をこなす、足のマッサージと風呂、洗濯は乾燥機が無いので止めた。夕食時は歩き遍路2人の方と一緒に戴いた。今日が初日でこれから通しで88ケ所を回るそうだ。多少のアドバイスをしたがあまり聞かれなかったのでそれほど多くは答えなかった。同じ日に同じ所で泊まっても其々の遍路の形があるから皆一緒になるとは限らない。其々の人生が違うんだから・・。予備知識無しでも何とか回れると思う。いや、無い方がいいのかもしれない。
だから、訊かれた事意外は答えなかった、88ケ所を回り終えた事を自慢していると思われても嫌だったので。頑張って、でも無理をせずに歩いてくださいとしかいえない。
明日はいよいよ1番だと興奮で眠れないかと思ったがそんな事もなく眠ってしまった。

88番大窪寺方面を振り返る

集落に咲いていた秋桜

香川県から徳島県へ

高速道路の下で雨宿り

9月23日
朝食を6時半頃に戴いて宿を出た。曇り空で時々小雨がぱらついた。番外の愛染院に立ち寄った。
去年門の前に白い大きな犬がいたのに今朝はいなかった。納経してから3番の金泉寺に向う。
去年通った道を反対方向に歩いていった、道の記憶を思い出しながらアァ、こんな場所もあったなぁと思い出す。反対方向からの歩きの遍路と何人かすれ違う。これからみんな回るんだなぁと思う。
2番極楽寺に着くコーヒーを飲んで一休み。去年はここで菅笠と杖を買ったんだ。一番はごった返していて買えなかった事やたどたどしかったお経の事を思い出した。お参りしてから1番に向った。遍路道はあったけど、あえて広い国道沿いを歩いた。1番に到着して満願のお参りをした。
納経所で満願の方は申し出てくださいと張り紙がしてあったのでその旨を伝えると、納経帳の1番の所に重ね印をするのではなく最後のページに日付入りで記帳していただいた。(何と書いてあるのか達筆すぎて読めない(;^_^A アセアセ・・・)。
予定ではこれから高野山に行きたかったのだが都合がつかなくて別の機会に行く事にした。
帰りは、鳴門西のバス停で神戸まで出て寄り道をしてから新幹線で名古屋へ着いた。
さて、・・・・このお遍路で何がどう変わったのか、何も変わりはしなかったのか、もう少し時間をおいて考えてみたい。

鳴門西のバス停

     

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